フィリピンのリハビリテーション・ボート

ADI
中西由起子

 1988年からフィリピンで活動を始めた国際NGO、HI(ハンディキャップ・インターナショナル)は、CBRの普及を支援するために国内のさまざまな暖帯が運営する18ケ所の福祉機器の工房を支援してきた。しかしながら国内での福祉機器に対する需要は大きくそれが満たされる状態には依然なっていない。国内に7100もの島があるため、既存の施設はそこに住む障害者の人たちにサービスを提供できていないのも、理由の一つである。

 ヒルウエイ(Hilway)号と名付けらえたリハビリテーション・ボートがHIによって作られた。その目的は
@ データベース:他の団体と連携を取って障害者への支援がひろがるように、障害と健康に関するデータベースを作る
A 医療型アウトリーチ活動支援:設備や運営能力を支援
B 緊急事態発生後のリハビリテーション援助:緊急地域にリハビリテーションや一次的医療援助を行なう
C 整形外科的サービス:義肢、補装具、車いす等を提供し、障害者の自律に役立てる
D 地域社会の組織化と地域社会の啓発:地域社会の中で支援グループを作り、自主的に地元の資源を使い障害者のインクルージョンを促進する
E CBR:一次的リハビリテーション・サービスの訓練を家族や地域社会のメンバーに行ない、障害者への毎日のケアを保障する。また。グループを作利、地域社会への障害者のインクルージョンを達成する支援を行なう。

 トローラー・タイプのエンジンつきヨットは15メートルの長さで、2004年より図に示されたビサヤス地方の五ケ所をそれぞれ一〜二ヶ月ほどキャーンぺ−ンのため滞在しながら巡回している。年間に10ヶ月運行している。OT、PT、義歯装具士、地域啓発監督官、CBR監督官の他にボート運行のための乗り組み員など計8人が乗務している。その中には障害者もいる。

 小さな島での人々の暮らしは、常に障害と向き合っているといっても過言ではない。医療サービスはないし、乗り物は危険であり定員以上の人々が乗り、ダイナマイトを仕掛けて漁をするなど生活のためには危険な仕事をせざるを得ない。

 支援を受けられるのは、医療やリハビリテーションのサービスが受けられない肢体不自由の人々、精神障害者、弱者の中でも恵まれない障害を持つ女性や子供である。

 2005年初めにはインド洋津波の被害を受けたインドネシアまで、救援物資を積み込んで二週間かけて訪れた。

参考資料
Handicap International, Rehabilitation Boat for Persons with Disabilities (パンフレット、発行年不明)
               http://www.handicap-international.org.uk/page_558.php
               http://www.handicap-international.org.uk/page_559.php
     
(2006年4月30日)