障害者のアクセス調査

Javid Abidi, インドDPI
(訳 中西由起子)

アクセスの問題
 アクセスの問題はインドの障害部門での最もおろそかにされた問題の1つであり恐らく最も重要な問題の1つでであった。 インドには推定7千万人の障害を持った人々がいる。 旅行や、建物、公園、店などに入ろうとすることは危なく屈辱的であり得るので、彼らの大部分が自分たちの家に閉じ込もったままである! 従って彼らは目に見えず、聞いてもらえず、従って無視されている。障害(機会均等、権利の保護と完全参加)法(The Persons with Disabilities (Equal Opportunities, Protection of Rights and Full Participation) Act) が1995年にインド議会で採択された。 法は交通機関や既存の環境での差別禁止を命令する。 しかしながら、これまでのところ何もあまりなされなかった。複合ショッピングセンター、公園、映画館、政府や民間の事務所、教育機関、訓練センターのような公共の場所すべてが、様々な種類の障害を持った人々のためにアクセス可能にされる必要がある。 我々には我々をサポートする法律がある。 問題を認識し、障害に優しく作られた環境を作ることに、力強い行動をとることで、そのプロセスは始まらなければならない。

目的
 デリーでのアクセス調査の目的は、様々な障害を持つ人々にとってインドの首都の公共建物物へのアクセスに関してどの程度の問題があるかを見つけること、そして問題に関して意識を高めることである。

実施団体:
 インドDPIの障害監査チーム(Disability Audit Team)がDPI アジア太平洋評議会がESCAPを中心に2003年からの実施を提唱している「アジア太平洋障壁からの解放運動(Asian and Pacific Movement for Freedom from Barriers)」の一環として実施した。

方法論
 およそ8つの公共建物 / 場所がアクセス調査の対象とされる。 初めに、その場所での関係当局に通知が出され、そして調査日が連絡される。(障害種別をこえた)障害者活動家グループがこれらの場所がどの程度障害優しいかを点検するために出かける。 監査チームが調査中に建物を評価するのに役立つチェックリストが準備されるかもしれない。監査チーム は視覚障害、身体障害、聴覚障害を持つおよそ10から12人から成る。 グループには写真での証拠を集めるカメラマンもいる。 各回、新聞やテレビからの少数の人々がチームに同伴する。 各回の調査が完了後に、チームは問題があるところと可能な解決法に関する所見をまとめ、関係当局にその提言を送付する。 条件をみたすための実践的な締切期限が当局に与えられる。 マスコミは監視役として非常に活発な役割を演ずる。 マスコミを通してた広報することは関係当局に圧力をかけるだけではなく、人々の間で認識と認識を高めるようになる。

アクセス調査の目標期間
 すなわち1カ月に約2回以上の合計8回のアクセス調査が4カ月間、実施される。

監査活動のいくつか:
2001年4月11日
 監査チームは技能博物館(Craft Museum)、国立現代美術館(National Museum of Modern Art)、Pandara Marketを訪ねた。博物館では9人のガードマンが入り口の階段で車椅子を運び上げた。館内の段があるところには小さなスロープが設けられていたが、とても急であった。点字ブロックの必要性も指摘された。訪れた場所のそれぞれで書き込む調査用紙を持っていた。7人編成の監査チームは視覚障害とMr. Jarnad Singh(車椅子、ビジネスマン)、Mr. Javed Abidi(車椅子)、Ms. Anjali Arora(障覚聴害 、最高裁弁護士)、Mr. Himanshu Mehta(松葉杖)、Lieutenant-General Ian Cardozo (retd)等の人々で構成された 。
2001年4月12日
 地下鉄、銀行、インド国際センター (India International Centre) 、国連事務所一ケ所とGreen Parkのマクドナルドが調査対象となった。 参加したのは、Mr. Javed Abidi、Mr. Deepa Gupta、Ms. Divya Arora(Lady Shriram College2年生)、Mr. Muthia Subraminium(Spastic Socety of North India会計)等の障害者であった。両方の日ともうまくテレビが取材してくれた。
2001年5月30日
 最も最近建築されたニューデリーの大病院の一つであるIndraprastha Apollo Hospital (Satir Vihar, Delhi-Mathaura Road, New Delhi 110044)を調査した。監査チームはDr. Onkar Sharma(DPIインド議長、言語聴覚障害)、Mrs.Asha Mehara( DPIインド会計、学習障害児の親)、Mr. Javed Abidi(DPIインド事務局長、車椅子)、Mr. Aqeel Quereshi(車椅子)、Mr.Baldev Gulati(視覚障害)、Mr. Jarnail Singh(車椅子)等のインドDPIの面々であった。調査前に手紙で伝えておいたので、患者に迷惑を掛けることなく調査できた。受付ロビー、標本採取所、病棟1ヵ所、外来部門1ヵ所、診察台や体重計等が備えられた診察室1ヵ所、トイレ数カ所を訪れた。
 全ての階にスロープやエレベーターで行け、廊下は広くゆったりとしていた。問題になったのは、障害者用駐車場の欠如、車椅子には高すぎる情報カウンター、視覚障害者の使用を考えた電話、エレベーター、通路での設備の欠如、全てのトイレが車椅子では使えないこと等のであった。


調査はニューデリーで4月11日に、技能博物館 (Crafts Museum) から始まった。 写真は障壁と、博物館の警備員が敷地に入る監査チームをを手伝っているのを示している。



監査チームには、一番右に立つインドDPI議長Dr. Onkar Sharma、その隣に立つ会計担当役員Mrs. Asha Mehra、そして 左から2番目に座る事務局長Mr. Javed Abidiがいた。


技能博物館 の事務担当官は、博物館の上級館長に代わって監査チームの要望書を受けとった。


監査チームにはメディアの人々が付いてきた。 博物館の一部にはスロープがあった。 しかしながら、車椅子の人は自力で車椅子で行くことができなかった。


博物館内のトイレもアクセスできなかった。


次に、監査チームは国立現代美術館 (National Gallery of Modern Art) に行った。 美術館館長は監査チームの要望書を受け取った。


すでに監査チームのためにスロープが作られていた。 しかしながら、スロープの傾斜は急であった。


パンドラ通り市場 (Pandara Road Market) で、監査チームは地元の郵便局に行った。


監査チーム はGol Dak Khanaの中央郵便局にも行った。 チームのメンバーのMr. Jarnail Singhは手が届かず手紙を投函できなかった。


監査チームは州立百貨店 (State Emporiums) と市の一番中心にある複合ショッピングセンターの1つにあるコーヒー屋(Coffee Home )にも行った。 デリー観光局 (Delhi Tourism Department) が運営するコーヒー屋はアクセスできなかった。


5月30日のアポロ病院の医療品売店での調査では、インドDPIの活動家Mr. Aqeel Qureshiがカウンターが高すぎることを発見した。


アポロ病院を訪れ監査を終了後、満足した表情の監査チーム。

(2001年7月11日)