2002年国際障害者の日記念行事

アジア・ディスアビリティ・インスティテート(ADI)
       中西由起子

 国連の国際障害政策プログラムは以下の国連決議に基づいて、2002年の国際障害者の日のテーマを自立生活と持続可能な暮らしとした。カナダ自立生活センター協会(CAILC)が自立生活をテーマとするようにカナダ政府に働きかけたのを受けて、国連が途上国の状況を加味して決まったものと思われる。


本年のテーマ

国際障害者の日
2002年12月3日
2002のテーマ:自立生活と持続可能な暮らし

「... .障害者が自分の人生で自立した決断を行い、自分で時間の使い方を管理し、経済的資源の使用を計画し決定し、主要なライフサイクル変更のために準備をしているかどうかの程度によって、望ましい結果が成し遂げられているかどうか予測することができる。」[1]

 12月3日の国連障害者の日は1992年の決議47/3によって総会で宣言された。 毎年この日の行事は障害問題とその傾向への認識と理解を増やし、障害者による、障害者と一緒の、障害者のためのすべてのレベルでの実用的な行動に対する支持を集めることを目的とする。 2002年の国連障害者の日の行事のテーマは、「自立生活と持続可能な暮らし」である。
 今年の国連障害者の日の行事のテーマは、自立生活と持続可能な生活の間に関係だけでなく、開発および生活のすべての局面で完全参加と平等を成し遂げる際の彼らの重要な役割を強調している。 テーマは人権と開発問題も関連づけ、それによって人権問題がアクセスの組織的保証を通してすべての人々に向けられる。
 障害者は自分たちの共同体の経済的、政治的、文化的な生活に貢献することが可能で、そうする意欲があるが、まだ多くの障壁に直面している。障害者と彼らの家族や共同体が、彼らが最大限可能なかぎり社会や生活のすべての局面に参加することができることを保証するために、障壁は排除されなくてはならない。
 国連事務総長は「障害者に関する世界行動計画第3次報告・評価」での報告で、効率的であるために障害の考え方は人権と開発政策・プログラム両方に向けられなければならないという不可欠な概念を支持した。 報告は、全ての人のニーズを満たす環境の立案と創造を必要として、ユニバーサル・デザインアプローチという考えを明確に表現した。[2] 人権的考え方に明らかに必要なのは、障害に関係するすべての政策とプログラムにおいての障害者の参加である。 アクセスを保証するために、人権機構も、開発事業に貢献するさいそして開発の結果を平等わける際に、開発と関係する意思決定において障害者の参加を必要とする。 開発に応用するとき、すべての人々の人権と国の開発念願の両方を進めるために、これらの機構は特別なグループの関心としてではなく必要条件として障害問題を見なす。
 つい最近の一連の国連総会決議は、障害者の持続可能な暮らしの重要性を強調した。そこでは、障害者の機会の均等化のために3つの優先活動、すなわちアクセス、社会サービスと安全策、そして雇用と持続可能な暮らしが決められた。 障害者のための、障害者と一緒の持続可能な暮らしの達成という問題は、一般労働市場への支援を受けない完全参加、授産所のような支援を労働受けての市場への参加、職業訓練や教育と、社会サービスのような人的資源開発への専門的な投資、そして社会的統合をさらに進めるリハビリテーション・サービスのレベルでの法的必要条件などのような、相互に関係づけられた連続体として考えることができる。
 さまざまな度合いで、障害者は社会的、経済的貢献を妨げられてきたか、限定されてきた。それは彼らの家族や地域共同体、社会がしばしば彼らの貢献の価値を否定することを意味している。これも結果として専門的ケアとサービスと結び付いてコストをあげうる。 経済的側面では、伝統的な隔離されたケアと保護管理的ケアシステムが、それらが基礎とする施設の高額な運営費と、自立を実現するための社会的、経済的アクセスを得ることを阻む施設でよく見る傾向によって、高価で反生産的であることが分かってきた。
 社会や経済の主流に障害者を連れて来るための政策と戦略は、ますます障害者の経済的貢献能力強化につ焦点があるため、経済的、社会的、両方の見地から優先事項として認知されている。彼らの貢献は、保護管理的ケアと専門的サービスで削減する一方、彼らの社会的統合を進めている。 このような政策と戦略の必須事項として、ジェンダー的側面を考慮に入れることは必要である。
 障害者は社会生活と開発での受益者と政策決定者であるべきである。この目標で重視しているのは、個人として選択、革新的な選択、および障害者の個人的な生活や共同体での生活への参加である。 障害者によって、障害者ために、障害者と一緒に自立生活と持続可能な暮らしを促進する普遍的な運動で個々人のユニークな才能に焦点を合わせることによって、また自己支援や適切な仕事、尊厳、敬意、自立と自己決定での障害者の権利を認識することによって、世界中の共同体は全体としてその経済的、社会的、文化的な前進のために強化される基礎にとっての新しい考えと選択肢を開発することが可能であろう。

[1]国連総会 、「障害者に関する世界行動計画報告・評価:事務局長報告(ニューヨーク、国連A/52/351、1997)、11頁、49節。
[2]国連総会 、「障害者に関する世界行動計画報告・評価:事務局長報告(ニューヨーク、国連A/52/351、1997)、4頁、6節、7節。

アフガニスタン
 
総勢130人の10県から集った障害者が、「リハビリテーションとレクリエーションのアフガン切断者サイクリスト」(Afghan Amputee bicyclists for Rehabilitation and Recreation)が主催する、国際障害者の日記念の自転車レースに参加した。多くの観衆が見守る中、優勝者はミシンや時計、トロフィーを賞品として受け取った。
Disability Tribune, Feb. 2003, DAA)

フィリピン


1.全日にわたる障害者の権利啓発キャンペーンは、Cagayan Valley地域で大学生、官僚、障害者、メディアのメンバー、障害児の親、教育者、他の関係者が参加して開かれた。 障害に関するパンフレットとその他の情報資料が配られ、KAMPI のリーダーがテレビとラジオの主要プログラムで話をするよう招かれた。
2.スポーツオリンピックがケゾン市 のケゾン記念円形広場にあるKAMPI全国事務所のグラウンドで障害を持つ300の子どもと青年が参加して開かれた。 メダルと特別賞がさまざまなスポーツカ種目の勝者に授与された。 この活動は首都圏 − マニラと郊外 − のためであった。 障害者団体も障害者運動を支援する政府や個人、団体に感謝の楯を贈呈した。
3.医療団が1日だけ第6地域に派遣され、障害者とその家族がその地域の医療協会メンバーから無料の医療の、そして歯科サービス受けた。 製薬会社が無料で薬をくれた。 社会・市民グループによって寄付された食事が医療サービスを受けたた人たち提供された。
4.スペシャルニーズ教育のシンポジウムが第10地域で地域で共に特殊教育や統合教育に障害を持つ子供や青年の参加を増やすために開かれた。 この活動には教育省高官と他の地方公務員や障害者が参加した。 障害を持った芸術家の作品も一般対象に展示された。
5. KAMPI と Cordiller地域でのセントルイス大学医療センターが早期療育、リハビリテション、障害原因の予防への意識を高めるために、バギオ市で障害に関する医療シンポジウムと訪問活動を行った。 医学生が活発に活動に参加した。
フィリピンは多くの島からなる島国であり、全国レベルでの一つだけの活動をすべての障害者に行うことは非常に難しいので、活動を地域にわけて行わなければならなかった。
Domoinga Quejado, KAMPI Presidentの9 Dec 2002 の December 3 Activities of KAMPIと題したメール)

ベトナム

Sai Gon Giai Phong 新聞とホーチミン障害者・孤児支援協会による「手を伸ばして、そして統合する」という題の作文コンテスト。
11月30日 ホー・チミン市 - 約5,000人の障害者と300人のボランティアが市、民間部門、新聞、ラジオとTVのの主要メンバーと一緒に Suoi Tienで会議。
Can tho − Cantho障害者青年協会会員が Suoi Tienでの会議に参加。 Nhip Cau会報を出版。
12月1日  Nam Dinh − Tuc Mac公園でクニック。 約120人の障害者が参加。
12月2日  Ha giang − 音楽ショー。
      NCCD が午後3時に MOLISA で会議。
12月3日  Ha noi - 障害者グループと障害フォーラムがレーニン公園で屋外イベント。
  Thai binh − Thai binhの全会員がハノイの自助グループと一緒に参加。
       ホーチミン市でのセミナー「毎日の生活での障害者条例に実施」
       MOLISA 大臣が省、UN、国際NGO、NGO 、障害者、公共のメディアからの代表者との会議を開催。ハノイとThai Binh、Nam Dinhの障害者自助団体は、国連、世界銀行、NCCD 、ブライト・フューチャー、盲人協会の代表ののスピーチの後に、一緒に歌を歌い、ゲーム、車椅子レースや交流をし、障害者条例を勉強した。
       障害児救済協会によるオペラ劇場での障害児のための資金集めコンサート。
"[disability-vn mailing list]" <disability-vn@vn-gw.anu.edu.au>, Thu, 28 Nov 2002, Subject: [disability-vn] Activities to celebrate the International Day for Disabled Persons country wide

タイ

 12月3日にむけてその1ヶ月程前から、土日を中心に政府、障害者団体によりバンコク・ハンディマラソン、アメイジング・ボーリング・ゲーム、手話によるお話の会等多くの行事が組まれた。
 タイ身体障害者協会(APHT)とタイ障害者財団(Disabled Foundation of Thailand)との共催による、タイで最初のミス車椅子コンテストが開かれた。最終選考で残った10人の中から、16才のThidarat Duangthaiがに選ばれた。彼女はレース中に転倒し、車いす使用者となった。賞品は軽量の車椅子、王冠と3,000バーツであった。
 また名古屋市でのハンディマラソンをモデルとして、バンコクで車いすのハンディマラソンも開催された。
 12月3日当日には、ESCAPの会議場において政府の主催でESCAPより大海道副事務総長、JICAより藤本副総裁とタイ事務所所長を迎えて、APCD(アジア大平洋障害開発センター)の開所式を兼ねた式典が開催された。国内の障害者福祉、特に2002年は障害者雇用年であったことから雇用の推進に尽くした民間企業を含む団体に記念の楯が贈られた。その中には僧侶の姿もあった。今までの準備段階で中心となった労働社会福祉省リハビリテーション委員会アジア大平洋障害開発センター小委員会の解散に伴い、APCDもそのメンバー全員に楯を贈呈した。


APCD開所式

障害者の日の表彰