いまだ残る障害者の教育機会の欠如

A. Ramakrishnan
2004年9月20日 
One World South Asia http://southasia.oneworld.net/article/view/94362/1/2117


 新たに公表されたインドの教育機関での障害児登録全国調査では、そのほんの少数だけが入学許可を得られることが明らかになったので、権利運動家は一般教育への統合と差別阻止の計画案を提出するしようとしている。
 インドの首都ニューデリーで先週開催されたこの問題に関するセミナーにおいて 全国障害者雇用促進センター( NCPEDP )所長Javed Abidi は、「我々は障害をもつ子供たちを教育しなければならない!」と力説した。
 調査結果はインドの教育には障害者の場所がないことを示した。 調査に回答した119の総合大学は、1635人だけの障害者学生の登録を報告した。 高名なデリー大学 と医大第1位の All India Institute of Medical Sciences のようなニューデリー にある大学は、回答しようともしなかった。
 調査に参加したインド全国からの96の単科大学に入学しているのは679人の学生だけであった。
 学校に関しては、もっと偏見は大きかった。
 回答した89の学校にたった障害を持っている382人の学生が入学していているだけである一方、そのうちのおよそ18校が「特種学校」の存在を統合を思いとどまるに足る十分な理由として引き合いに出した。 提出された計画案の青写真には、インド教育中央諮問委員会 (Central Advisory Board of Education in India) の下での強力な委員会の設立、普通校教師カリキュラムに障害の訓練を入れること、点字図書と録音図書(オーディオ系学習資料)の増加と平等な入手、アクセスを可能にするためのバリアー・フリー環境が含まれている。
 明らかに、ほとんどのインドの学校が現在そのような設備を提供していない。 例外の1つがニューデリーにあるセントメアリー修道会学校である。大半のインドの学校がカリキュラムにインフォメーション技術 (IT) を導入したように、Annie Koshi校長は、障害者にやさしい家具や、リフト、手すりなどのその他の設備ががこのような学生を受け入れるために提供されるべきとちょうど感じていた。
 障害者の権利運動家、教育者と政府役人を含む参加者は、優先分野でのパラダイムの転換を要求し、「特殊教育」が連邦の社会正義・エンパワメント省から人的資源開発省への移行するようロビー活動を行なった。
 彼らは、モニタリングメカニズムの設立によって教育機関に責任をもたせるような、政策レベルでの変革の必要性を強調した。
 インド の2200万人の障害者が自分たちの権利を守るため多くの法律条項が国内および国際レベル双方に存在するにもかかわらず、それらは無視され続けている。
 インドの憲法21条では、すべてのインド市民は平等権と法律の保護の権利を与えられている。 興味深い事に、憲法は、「1995障害者(機会均等、権利の保護 と完全参加)法」で大きな重要性を持つ、障害者のための積極的な差別も認めている。
 法は、国家に18歳の年齢まで障害者の教育に関して責任を持たせ、すべての政府教育機関で彼らのために3パーセントの割当てを明記している。 それは実施されてはいないが、インド政府で進行中の「万人のための教育」運動も、障害者を含めての、すべての子供たちに対して平等な教育機会を約束している。 NCPEDPの 調査で示されているように、現実はみじめなままである。
 教育を許された一握りの障害者にとって、それはずっと困難な戦いであった。 身体障害者で今は自分自身の会社を率いる中年の Salil Chaturvediの例が語られた。 彼は人生の早い段階で、他の人たちに依存せざるをえないがために、医者になる訓練を受けるという夢を断念するよう強いられた。
 脳性マヒの障害者Samuel ManiもIT 部門で雇用されていが、身をたてるためにいかに闘ったかを述べた。 区別されたことから孤立を感じて、彼は特別学校から普通校にかわった。
 彼が強調するように、「一般の学校や大学は、我々すべてが送るべき生活、つまり標準的な生活について教えてくれる。 大切な事は他の人々によって見られることである。」
 初等教育での教育の欠如の他に、障害者はその後高等教育取得も阻止されている。
 聴覚障害への支援技術を使う教育者S. C. Handaは、「多くの席が空いているのに、我々はまず初等、中等のレベルで障害者を教育することができない。」と認めている、
 参加者たちは特種学校の必要性を完全に軽視しない一方、一般の学校で障害をもつ子供や青年に普通教育を受けさせる必要性を強調ている。
 特種学校は、障害がある子とない子が互いに触れあうことがないために、両者に害となる人工的環境だと見なされる。 特種学校では標準的カリキュラムが提供されない。 南インド・チェンナイ 市からの教師Poonam Natarajanが感じる主要な問題は、学生に未来のキャリアを保証しないことである。
 とはいえ、インドの政府に奨励をする若干の徴候がみえた。 インドの高等教育を管理する最高機構である 大学補助金委員会副会長Rajashekharan Pillaiは、大学を障害者に優しいものにする案が準備中であったと述べた。
 同じく、連邦社会正義・エンパワメント省の局長Ashish Kumarは、いくつかの省に障害者に補助金を提供する制度があると述べた。その多くは官僚機構あるいは補助金の存在についてのまったくの無知のために、日の目を見ないでいる。
 将来、 Abidi は障害者運動を代表する当事者組織を使うことを計画している。 彼にとって、当事者組織が直面する最大の危機はローモデルとリーダーの完全な欠如であり、グループとして組織が自分たちのの権利のために戦う必要があると付け足している。

                          (翻訳 中西由起子)