障害者団体ジョイント・フロント:スリランカの障害団体連合


 Disability Organisations Joint Frontは、スリランカ全土の障害者団体を統一する上部団体である。身体、知的、視覚、聴覚の障害者を持つ人々を代表する18の会員団体からなる
 SHIAの呼び掛けで障害団体が集まり、その支援で2001 年7 月に設立された。障害者として自分たちが直面する問題(@ 教育の機会が不十分、A雇用、B訓練、C保健と社会のケア、および既存の環境、D一般的に政策や立法の過程および審議からの障害者の排除 )を集団で取り上げる。

 スリランカでさまざまな障害グループを代表する上部団体を結成することは、このような問題が取り上げられるなら必要なこととみなされた。D.O.J.F.は団結した運動体として働き、障害者を平等で価値ある市民として社会に参加することを阻む共通の問題を取り上げるために協力するなら、さらに大きな影響をおよぼせることを実感した。スリランカに住む障害者の機会の均等化を支持し、権利と尊厳を推進し守るなら、さらに大きな効果もあるであろう。

ビジョン − スリランカのなかで障害団体の団結した力によって、平等な権利を享受できる社会
ミッション − 障害者自身の、そして障害者のための個々の団体のアイデンティティを認める一方、別の状況ではこれらの団体が個々に扱うのが難しい共通の目的を達成するために、団体と密接に協力して働く
長期目的 − 障害団体が、障害者に自由で自立した生活を保障する、障害者の権利を守るために、圧力団体として一緒に働くことを可能にする
短期目的 − 効果的に運動できるように障害団体を動員する
        障害者、非障害者、彼らの団体の態度を変える
        障害者の権利保護のための1996年の第28法に規定された条項の実施を活発化し、その中で適切な修正をおこなうようにロビー活動をする
        国や民間のマスコミ機関に、障害者に関する正確な国内情報と国際情報を頻繁に地域社会に広めるようにさせる
        障害者を差別するか拘束するすべての規則や規定を、撤回もしくは修正するために運動する
        国の政策決定過程に障害者が参加できるように働く
        既存の環境、情報、教育、雇用、所得創出、スポーツとレクリエーションを含むすべての事項に、全分野の障害者が利用できるようにアクセシブルな設備をつくるように運動する
        認められた言語として手話が受け入れられるように運動し、その普及のために適切な活動を行う
        (その結果、夕方5時のニュースには手話通訳がつく)
        重度障害をもち地域社会でリハビリを行えない者のホーム設置のために適切な方策をとる
        政府やNGOと連携して、特別ないニーズ(知的障害)をもつ者の要求をみつけるために適切な方策をとり、彼らの発達のためのプルグラムを開始する
        すべての国の集会で女性障害者の十分な出席を保障するために、適切な方策をとる

役員および職員 − 会長の任期は2年、現在は障害者、理事は13人
          現在 7 名の常勤有給スタッフと、オーストラリアと英国からの2 名のボランティアがいる。スタッフの一人は今日本で1年間のダスキン・リーダー・プログラムを履修中である。スタッフは事務、会計、権利擁護、啓発プログラム、情報と資源センター、アクセシビリティ・プログラムの仕事をしている。研修と能力構築プログラムのためにさらに2 名のスタッフを雇用する資金が 確保されている
会員団体 − 女性障害者協会、Thalawa *
        聾児の親の会、Moratuwa
        スリランカ盲人協議会、Colombo 2*
        スリランカ聾者中央連盟、Dandugama, Ja-ela
        スリランカ視覚障害者連盟、Colombo 2 (Serisena氏が長年長をつとめる)
        Matugama社会サービス協会、Matugama  (リハビリテーション・センターを運営)
        スリランカ障害者リハビリテーション財団、Maligawatte* (別名Rehab Lanka)
        スリランカ視覚障害者全国連盟、Narahenpita
        セイロン精神薄弱者協会、Mt. Lavinia. (親の団体)
        女性視覚障害者全国フォーラム、Colombo 2
        Kalutara行政区精神障害者父兄・教師団体、Waskaduwa (知的障害者のための団体)
        Kalutara行政区障害者団体、Horana (知的、身体、視覚障害を対象とする)
        盲聾学校特殊教育サービス協会、Tangalle. (学校と作業所を運営)
        障害者中央協議会、Bandarawela*
        障害者リハビリテーション団体 (ORHAN) 、Vavuniya
        スリランカ脊損協会、Ragama*
        Saviya 開発協会、 Galle (新しくつくられた)
        特殊教育開発団体、Monaragala
        (*は特に活動が活発な団体)
会員資格
(1)次の機関の少なくとも1つと登録している
     行政区事務局
     NGO登録事務局
     障害のある人のための全国事務局
     社会サービス局
(2)I1)で登録した団体や協会、戦線(front)、あるいは、国会法にある既存の団体
(3)草の根団体は応募できない
(4)執行委員会と国、州、行政区構成の共同の決定を行った応募団
(5)支部がある団体の場合、父母会もしくは母親会だけが応募できる

活動計画 
(1)組織能力を強化し、障害者団体が効果的な運動を行うように励ます
(2)障害関連の情報の収集と普及ならびに障害関連問題への諮問を行う
  整った障害関連情報とリソースセンターの開発
  情報文献の開発
  障害情報普及推進のためのウェブの開発
  情報と助言の提供
(3)意識を高め、障害と障害者に関する否定的な態度を変える
  会員団体やその他による、継続中の障害啓発・権利擁護プログラムの開発
  障害問題を取り上げるようにメディアへの影響力の行使
  ニュースレター"Atha Hitha" (手と足)の発行と普及
(4)既存の環境、コミュニケーション/情報、雇用と訓練、教育、保健と社会的ケア、住宅、スポーツとレクリエーションへのアクセスを得るために、障害者に対する差別を防ぐ法律を提唱する
  DOJF は社会サービス・福祉省の下にある国の障害者事務局に登録し、以下の委員会に代表を送っている
    国の障害者評議会 (NCPD) − 大統領が23名の委員を任命(障害者の権利保護のための1996年の法第28号)
                   委員4名をおくっている
   国家障害政策の開発
   障害法検討委員会  (NCDP内にDr. Padmani Mendisを長とする起草委員会が作られた)
  DOJFは政府に十分に認められ、省と密接に働き、ESCAP主催の「国連人権の保護と推進に関する条約」に参加
  2004年国際障害者の日プログラム
(5)障害団体で働く職員の人的資源開発を推進する
 研修や開発プログラムによる会員団体の能力構築
 DOJF 研修開発ユニットのさらなる発展
 障害団体に適する幅広いコースやワークショップの開発
 DOJF 会員団体内でのリソース・パーソンの強化
(6)活発なネットワーキングと国、地域、国際レベルでの連携により、D.O.J.F.の働きのインパクトを増す
 会員団体とのネットワーキング
 NCPD への出席
 マネジメント・クラブ (TMC) とセイロン雇用者協会との連携 (ホテルでジョブ・フェアーを開催)
 国連ESCAP とのネットワーキングと連携
 DPI と APCD ( 会員認証未決定)
 国際的な同様な上部団体

プログラム

(1)情報・リソースセンター
情報リソースセンターの目的 − さらに地域社会に参加できるように障害者の知識と適切なサービスへのアクセスを増やすことを援助するために効果的な情報と理ファーラル・サービスを開発する。
                障害に関する本やパンフレット、雑誌、障害者がセンターにやってきて自分たち自身で見ることができるようにするあらゆる自助具などの情報やリソースの資料を必要としている。障害に関するデータを集めそれらを必要とする誰にでも利用できるようにする。

(2)津波(アクセス・フォア・オール・プロジェクト)
 脊損協会、MotivationとJohn Groomsによって結成され、ぞの語CBM、政府部局等が参加
 津波で追い出された報告者数-489061
 津波による報告死者数-30895
 障害者数-統計なし
ゴールのサンボディ・ホームの例
 会員団体が運営する
 ホームは以下の人々を世話するために篤志家によって始まった:
 重度障害、肢体不自由、知的障害、車椅子使用など,.
 センター内および近隣からの児童のための学校
 津波に襲われた時約84人がいた
 41人以上が生き残り、残りが死亡した。その大半は重度障害者や車椅子使用者であった。
 重度障害者は、緊急事態においてはアクセスが困難な別室に居住していた
 専門職少数がいて、高いところに障害者を運んだ
 現在は別の津波が来ないところに政府がホームを再建中
盲聾学校特殊教育サービス協会の12 人の盲児
 12 人の盲児と2 人の教師を乗せたバスが、海岸沿いに旅行中に津波に襲われた
 津波に襲われた時、盲児は安全のためどの方向にいくのか、どうすべきか分からなかった
問題点 − 配給センターに行けない:
      コミュニケーションのバリア
      自助具の紛失
      配給場所へのアクセスがない
福祉センター − 政府が被災者のために寺院,教会、学校ほかに設置
         アクセスできるトイレはない
         手伝ってくれる介助者がいない 
         障害者と生活することを不愉快に思う
         水と衛生設備の不足により、障害者が清潔でいられない
ニーズ ー 車椅子、松葉杖、義肢、補聴器などの自助具・毎月の補助金
      ピア・カウンセリング
      適切な水と衛生設備
統計 − 津波被災障害者と津波で障害者となった人の統計がない
     SHIA はDOJF とともに、津波被災地域での障害者調査実施の提案書をSIDA に提出した
 Motivation の支援で、DOJF は政府、国際NGO やその他の障害当事者や支援者の団体と、津波被災地域にいる障害者が直面する問題を取り上げるのに必要な段階を話しあうために、2005 年6 月13 と26 日に2 回会議を開催した。
 障害者団体の組合(consortium )が結成され、 "Access for All"キャンペーンが始まった
すべてのメインストリームの立案や開発での障害者のインクルージョンのための権利擁護
すべての新規建築物やその他のインフラが完全にアクセシブルであること
       www.accessforall.lk
DOJF 会員団体の活動
 (1)脊損協会Spinal Injuries Association - 車椅子、3輪車、ピアカウンセリングの提供
 (2)リハブ・ランカRehab Lanka -車椅子、3輪車、松葉杖、その他の福祉機器、自営業のためのミシンなどの品物
 (3)中央聾者連盟Central Federation of the Deaf - 補聴器、ピアカウンセリング、手話通訳サービスの提供

DOJF は何を会員に提供できるか
   障害者が直面する共通問題を取り上げること (eg. 教育、雇用など )
   能力構築支援
   訓練
   情報と権利擁護 (ニュースレター年4回発行、点字印刷可、センターに点字本もある)
   他のネットワークへのアクセス
   すべてのレベルでの会員団体の出席の増加

協力・連携団体
John Grooms Overseas
Motivation (USAIDの資金で2007年までの移動障害者用機器のための5年間プロジェクト)
SHIA
ABILIS of Finland
C B M (Christoffel - Blindenmission)
Handicap International
EU

連絡先  General Secretary,
     368,Gall Road,
     Ratmalana.
     Sri Lanka
       Telephone : +(94) 112 721383
       Email : dojf@sltnet.lk
       Web : http://www.dojf.org

参考資料 
(1)Rasanjali Wawduwa Pathirage、「スリランカの障害者団体ジョイント・フロントの活動」、アジア障害者問題研究会、2006年5月6日(土曜日)
(2)Disability Organization Joint Frontのwebsite http://www.dojf.org/
(3)Acces for All campaignのwebsite http://www.accessforall.lk/

                                          中西由起子, 2006年5月12日