アフガニスタン障害者支援の現地情報 と 障害者の支援活動


アフガニスタン障害者支援の現地情報

朝日新聞映像センター記者・武田剛

● アフガニスタン障害者協会

1990年にできた団体で、アフガン政府の保健省の管轄下にある。95年にタリバーンがカブールを制圧するまで、アフガニスタンの障害者を代表する団体だった。職業訓練などをして、障害者の自立支援をしてきた。タリバーン政権下は、すべて活動が停止させられた。事務所もすべて破壊され、現在、設備らしいものは何も残っていない。

タリバーン政権の崩壊後、今年に入って、協会の活動を再開した。事務所は昔と同じ建物を確保したが、設備は何もない。いま事務所の立ち上げに取り組んでいる最中。

現在、協会には85人のメンバーがいる。カブール本部のほか、16州すべてに支部を持っている。各支部も同時に活動を再開している。代表はAmir Mahmoodさん(40)。本人自身は視覚障害者。タリバーンとの戦闘中、地雷の爆発で失明した。

 障害分野は@視覚障害、A肢体不自由、B聴覚障害。
 ※今のところ、どこの団体も協会へのサポートを申し入れていない。


● 障害者のおかれた状況(アフガン障害者協会長のコメントより)

不幸なことに、アフガニスタンの障害者がおかれた状況は悲惨です。リハビリなど全く受ける機会がなく、放置されている。家族が助けるしかない。全く自立することができない状況です。国際赤十字などごく一部の団体は障害者支援をしているが、我々には何もありません。

 アフガニスタンでは人口の23%が障害者。長年にわたる戦争のせいで、障害者が増えてしまいました。人口的には100万以上だと推定され、うちカブールには7万います。

● 車いすの使用状況(武田情報)

町中を取材で回る限り、車いすの使用者は大変多い印象だ。カブール市内は比較的、舗装道路が多く、大きな通りなら車いすは使いやすい。しかし、一本裏道に入ると、デコボコの土道で、相当苦労している。

町中で見るタイプは2つ。数的に多いのは三輪型で、自転車のペダルを手で回すタイプ。東南アジアでもよく見かける、自転車を改造したものだ。もう一つは日本で普及している形だか、直接車輪を触らずにすむように、車輪に棒を取り付けるなどの改造をしてある。

従来、日本で使っているタイプも町中で見かけるが、数的には三輪型の方が多いようだ。ある障害者の自宅を訪ねたが、アフガンの住宅は、高い塀で家を囲い、中庭が広いので、その中で使っている。しかし、実際には1台しか持てない人が多く、日本普及型で外出している人も多い。

アフガンの車いす使用者は、バスなどの公共交通機関に乗ることはまずない。よって、移動はすべて車いすになる。となると、日本で普及しているタイプでは、長距離の移動はとても苦労する。そこで、よりスピードがでる改造型の方が普及しているという。

●車いすの需要(協会情報)

 貧困で車いすを持てない人が多い。分かっているだけでも、カブールだけで250人はいる。潜在的にはそれ以上だ。どれぐらいの車いすが必要か、各州をしてみる。どのくらいの障害者が車いすを必要としているのか。それを早急にやってもらう。約800台は必要だと思う。修理については、専門家もいるので、彼らに技術を広めてもらえる。

 車いすの種類については、日本で普及しているタイプでも十分使える。それを改造することもできる。

 今後は、数の調査、そして実際にどう配布、メンテをするかを決めたい。配布は始めに本部でストックして、状況を見ながら全国に配っていきたい。カブールについては、車いすのない人のリストづくりを進めている。

● 物乞いと障害者(武田情報)

街で見かける物乞いは、その大半が障害者と女性だ。障害者は働き口がなく、女性もタリバーン時代に就労が禁止されていた影響だ。健常者でも生きるのが大変な状況の中で、障害者は社会の片隅に追いやられている。

物乞いをしている障害者の中で、特に目立つのが車いすを持たない人だ。みんな例外なく、地雷や爆弾で足を失っている。車いすが買えずに、板に小さな車輪をつけたスケートボードのような手作り車いすや、両手で体を浮かして移動している。彼らに話を聞くと、国際赤十字の病院などに行っても、つてがないために、車いすや義足がもらえないという。

● 支援の必要性と問題点(武田情報)

アフガニスタンでは、車いすの需要は非常に高く、さらに多くの人が車いすを持たないか、またはとても古い物を使っているのが現状だ。長年の戦争で足を失った人や、さらに全土に約1000万個も残されている地雷の犠牲者も後を絶たない。そんな状況をみると、車いす支援は今こそやるべき計画だと思う。あfがn

しかし問題もある。障害者協会の事務局がまだ完全に立ち上がっていないからだ。電話が一本あるだけで、パソコンやファクスなど、その他の事務関係備品はこれから調達しなければならない。協会に英語ができる人間もいないため、支援を始めた場合、日本からの連絡がうまく通じない可能性がある。現地に入れば、通訳を通して仕事ができるが、日本からの連絡は非常に困難だ。現地に事務所がある日本のNGOに協力を要請するなどの対策が必要であろう。

(AJU自立の家へのSunday, June 23, 2002 4:31 PMのメール)

障害者の支援活動

狙い − 第6回DPI世界会議札幌大会にアフガニスタンの障害者を招待する。大会参加者に戦争の愚かさと悲惨さ、障害者問題を広く世界に訴える。
     アフガニスタンの障害者に車いすを送ることにより、アフガンの障害者の自立を支援する。
     アフガニスタンの子どもたちに鉛筆とノートを贈る。

内容 − キャンペーン期間     2002年8月〜2003年3月
      DPI世界会議札幌大会招待  2002年10月14〜20日
      車いすを贈る運動     2002年8月〜2002年3月

募金の詳細はおしらせ(講演、講習、スタディツアー)