中国西安の福祉工場

第98回アジア障害者問題研究会報告
1999年9月4日 
DPI日本会議・宮本泰輔


*DPI日本会議は国内各種の障害当事者の団体から成り、1981年に設立された障害者の世界団体、障害者インタ−ナショナル(Disabled Peoples' International )に属する。アジア太平洋各国ののDPIの強化を計るために、過去4年間郵政省国際ボランティア基金により、フィリピンの小規模自営の開始、パキスタン・ラワルピンディの女性障害者の職業訓練、中国・山東省済南市のオ−トバイ製造福祉工場、フィジ−の自営業推進コ−ディネ−タ−の養成を支援してきた。今年度は中国・西安市西安電力機械製造公司障害者連合会の福祉工場ソフトウエア−事業部の障害者雇用デ−タベ−スソフト開発を援助した。
*中国では障害分野の事業はとう僕方を中心とする中国障害者連合会がすべて統括し、省から市レベルまで連合会を組織している。西安市は98年5月に「西安市扶助残疾人若干規定」を作るなど意識は高く、市障害者連合は障害者手帳を発行している。盲学校、聾学校がある。
*西安電力機械製造公司は、まわりに傘下の三菱との合弁企業、従業員のアパ−トや教育、福祉施設を配し城下町を形成してい大企業である。公司の家族を含む6万人のうちの500 人の障害者を組織しているのが、西安電力機械製造公司障害者連合会である。西安市元市長が名誉理事長を勤める。連合会のセンタ−には福祉工場、16才以上の知的障害者が月給400 〜500 元で銅線の皮剥きやレクリエ−ションを行う作業所、数名の教師が17名の知的障害児を学年なく教える市内唯一の知的障害学級、図書館等がある。
*福祉工場で働くのはほとんどがポリオの障害者であり、工場長も30代のポリオの男性である。35%が障害者であると法人税が控除され福祉工場として認められる。親会社の作業着、ガスメ−タ−、射撃用の車椅子や補装具などを製造しているので、親会社の景気に左右されている。
*96年に従業員50人に1人障害者を雇用し守らない場合には罰金との障害者雇用条例がp、広く実施されていない。中国障害者連合会が雇用促進のためにデ−タベ−スを作ることになり、その作成を依頼された福祉工場ソフトウエア−事業部を援助した。郵政省からの140 万円の内、110 万円でノ−トパソコン1台、タワ−型パソコン2台、スキャナ−1台、プリンタ−2台を購入し、東京コロニ−の障害者を技術指導と機器の操作確認のため2回短期派遣を行った。独学で卓越した技術を身に付けた障害者スタッフを中心に西安の史跡、兵馬傭の入場管理システムを開発した経験を持ち、大まかなフォ−マットを作っていたので、デ−タ入力の際のメニュ−作りを手伝った。CD−ROMの中のソフトを利用して障害、学歴、職業、希望の内容から適材の人間が見つけられるようになっている。15省で試行事業を実施する予定になっている。そのネットワ−ク化も構想されていたが、まだWindows3.2が多く、国内の電話通信にはまだ問題があり、実際にこのソフトを利用しているところがない状況では、まだ早いと考えている。