2002年5月16ー22日に開催されたESCAP第58回総会最終日において次のアジア太平洋障害者の十年が採択された。
『21世紀のアジア大平洋地域の障害者のための包括的で、障壁から解放され、権利に根ざした社会の推進(Promoting an Inclusive, Barrier-free and Rights-based Society for People with Disabilities in the Asian and Pacific Region in the Twenty-first Century)』と題された決議案は日本の提案に以下の国々が賛成するかたちで、29各国による共同提案として提出され、決定された。
ブータン、中国、クックアイランド、フィージー、インド、インドネシア、キリバチ、ネパール、韓国、サモア、シンガポール、ソロモン諸島、タイ、トンガ、ツバル、バヌアツ、ベトナム、アルメニア、マーシャル諸島、マレーシア、トルコ、ラオス、バングラデシ、カンボジア、モンゴル、アフガニスタン、オーストラリア、ミクロネシア諸島。
すでに1993年よりアジア太平洋障害者の十年が推進され、最終年にあたる今年10月25-28日に滋賀県大津市で開かれるアジア太平洋障害者の十年最終年ハイレベル政府間会合では、決議の第3項により次のような議論が展開されることになっている。
(a)アジエンダ・フォア・アクション(行動課題)の実施の成果の評価
(b)とりわけ以下の強化を目的とする、次の10年の行動の枠組みの策定と採択
(i)教育、訓練と雇用、既存の環境と情報・通信技術へのアクセス、社会保障と持続可能な暮らしなどの重要分野
(ii)小地域(サブリージョン)での協力と連携
これらの事項を目標達成を視野に入れて、さらに第4項では特に以下の点を考慮するよう提案がされた。
(a) 農村地域の貧しい様々な障害を持つ人々、とりわけ女性障害者たちの自助団体組が21世紀の包括的でバリアフリーな社会に十分に寄与できるメンバーとなれるようにエンパワーすることを視野に入れた、それらへの支援と強化。
(b) 国家の政策や事業の開発における早期療法や家族への支援を含めた、障害児の完全な発育をめざす教育へのアクセスの積極的な推進。
(c) 障害を持つ女子や女性、障害者を持つ高齢者、発達障害や精神障害を持つ人々のアジア太平洋の社会への統合と彼らの人権の推進を特に強調した、彼らへの特別な保護の提供。
(d)アジア太平洋地域における情報・通信技術の利用と情報格差の是正による、障害者の社会参加を可能にするための推進活動。
DPI(障害者インターナショナル)アジア太平洋評議会はオブザーバとして出席を許され、次のような内容の意見陳述(DPI
Statement on the New Decade)を行った。
1テーマをアジア太平洋障壁からの開放(Asian and Pacific Movement for Freedom from
Barriers )とすること。
世界レベルでは権利条約の推進が最大の関心事となっている。しかし草の根レベルでの障害者の活動を考えた時、彼らが直面しているサービスや情報、建物へのアクセスがないという具体的な問題を先ず示した方が権利の問題を理解しやすい。そのため、世界レベルでの権利の論議と地域レベルでの権利の基本的問題としてのアクセスの推進を、車の両輪としてすすめていこうとするものである。
2そのための活動として
@交通機関や建物を含めたバリアーフリー環境の保障
A貧困削減を目指した障害者のエンパワメント
B通信情報面でのアクセスの向上
Cバリアーフリー運動強化のための人材の開発
D政策策定への参加
E障害者の自助団体の発展
F人権の推進 をあげている。
(5/7/2002)
優先行動分野
1993-2002年のアジア太平洋障害者10年の実施期間中に進歩が不十分であり活動が沈滞していた優先分野に焦点を合わせ、さらなる努力が必要であるとして、
決議文58/4によって、地域の政府が次のような優先政策分野を定義した
(a) 障害を持っている人々の自助組織とその家族と親の団体
(b) 障害を持っている女性たち
(c) 早期発見、早期療法と教育
(d) 訓練と、自営を含めた雇用
(e) 既存の環境と公共交通へのアクセス
(f) 情報、通信と支援技術を含めた情報と通信へのアクセス
(g) 能力の構築、社会保障と持続可能な生計プログラムによる貧乏撲滅
それぞれの優先分野に対して、次のことが明らかにされた
(a)重要問題、 (b) 適用できるならば、千年期開発目標、 (c) 琵琶湖フレームワーク (Biwako Framework)
の目標 (d) それらの目標を成し遂げるのに必要とされる活動