ビルマの地雷被害者と医療問題 
                    

第140回アジア障害者問題研究会報告
2003年5月10日
日本地雷廃絶日本キャンペ−ン(JCBL)・加藤美千代

          

* バンコクにある、ガンジーの非暴力主義に基づくNon Violence international(NVI)で2年間働き、国際地雷キャンペーンに参加した。ビルマの地雷廃絶調査では、被害者関係者にインタビューした。
* ビルマは日本の1.8バイ(倍)の広さに、130以上の民族が住み、200以上の言語が使用去れている。仏教徒のビルマ族が70%を占める。軍事政権下にあり、情報の統制や検閲、移動の制限が行われている。宝石や木があり豊かなはずであるが、ヤンゴンでも電気は半日しかこない。
* 貧困の原因(のひとつ)は民族間の紛争であり、カレン、シャン、モンなど15民族が(30以上の)反政府民族軍が連邦制を求めて戦っている。麻薬、木材、宝石の貿易で収入を得ている。彼らの中で少なくとも10民族(15民族)は地雷を使用している。政府軍によるシャン族の女性のレイプ等、人権侵害も見られる。雨期にはジャングルの中で移動できず、戦闘は中止となる。紛争はタイ国境側だけでなく、バングラデシュとの国境でもある。
* 民族軍の地雷は、ビンやミルク缶、竹を使った手製である(ものが多い。*地雷を作れる民族軍もいます)。政府が埋めたのを掘り起こして使うこともある。除去してもすぐうめられるし、探知機を渡しても、軍事目的で使われるとの危惧がある。民家や村の周囲、畑への道に埋設し、地雷地図を作っているが正確ではない。村が襲われて逃げて帰れなくなった国内難民が増えている。推定10万人といわれている。タイ難民キャンプでは15万人を受け入れているが、難民を認めていない。逃げて来ても、受け入れてもらえなかった人はタイ国内で不法に働いている。日本には不法滞在者を含め、約1万人のビルマ人がいる。
* 地雷被害者数は、紛争中のため調査できない。NVIの調査は98年からの被害者192人にインタビューした。大半は少数民族の男性であった。地雷は怪我をさせ、世話が要るようにして、相手の兵力を削ぐ。怪我による切断面より深くえぐられるように傷ができ、破片が中に行く。火傷や出欠(出血)も伴い、二次感染も起こす。踏むとジャンプして脇腹の知覚(近く)で爆発する地雷もある。触れたり、除去している時には、手、耳をやられる。
* 治療は国営の施設や反政府民族郡地域や隣国の医療施設で行われる。ビルマの医療水準は全世界199ヶ国中190番目である。国の足りない分を NGOが補完できないためである。リハビリテーション病院は国内に2ケ所あり、ヤンゴンとマンダレーでは無料で義肢が作れるが、これらの施設ンを使っている地雷被害者は少ない。ICRC(国際赤十字連盟)のセンターは軍人、民間人の双方を受け入れるが、アメリカ難民サービス(ARS)ンドは(などといった医療NGOは)兵士の診療はしない。日雇い労働者で収入は月2000バーツであるが、義足は膝下用3000バーツで3年毎に作り闡ヨえねばならない。
* 少数民族に対しては、タイに住んでいる人たちによるバックパック医療チームが訪問している。10人1チームで、医学生が救急手当を行い、タイ側に連れて来て治療をする。医療チームは、1988年にカレン族の女性が建てた診療所、メタウ・クリニックから派遣される。逃げて来た人を無料で診察し、年間36,000ケースを診る。内科に加え、今は眼科、産婦人科、義肢製作、小児科があり、入院施設もあり、海外からの医療職のボランティアも働いている。
* 難民キャンプで働くNGOは多く、義肢を無料で提供しているが、キャンプ以外の所への援助はできない。