カンボジアの障害者当事者団体CDPOの多岐にわたる活動

第108回アジア障害者問題研究会報告
2000年7月1日
CDPOボランティア・石本由美

 

*92年に日本のNGOスタッフとしてカンボジアに行って以来、最近のCDPO(カンボジア障害者団体)でのボランティアに至るまで、プノンペンに居住。
*国内には300程のNGOがあり、日本のNGOは30弱である。ローカルNGOの規模は小さい中、CDPOは良く運営されている。政府に力がないので、資金や力のあるNGOは大規模な活動ができる。郵政省国際ボランティア基金に頼っていた日本のNGOは、活動の停止や縮小、現地NGO設置によって対応している。政府の許可を得ずに活動しているNGOも多い。NGOスタッフに無量で与えられる半年間のビサや輸入物資の免税の特典がないくらいである。
*政府は90年代初めはNGOに感謝し、NGOの存在感があった。93年の総選挙後は国連資金,諸外国のODA、直接投資が入って来て、NGOに対して無関心になった。社会福祉省は一番貧しい省で社会福祉活動の90%をNGOに頼っているので、他の省ほどはNGOに冷たくない。
*CDPOは障害当事者の世界組識DPI(障害者インターナショナル)の支援で2年間スタッフトレーニングを受けて、その会員団体として結成された。まだスタッフの実力が伴なわないので、外国のNGOがボランティアで訓練等の支援をし、国中をこまめに動けるよう期待をかけている。知る限り、ローカルNGOの中で会員制を取る唯一の団体である。300人ほどの会員が自助の意味を理解し、年会費2,000リエル(約50円)を支払っていることは素晴らしい。3ヵ所の支部各々で会議があり、毎年支部を一ヵ所作る計画で、次はコンポンチャムになっている。中央委員会は選挙で選ばれる。
*村では前世の行いで障害をもったと信じ、一歩も外に出られない障害者もいる。CDPOはラジオ、テレビで、障害者は学校に行ける、仕事ができるという、啓発の番組を流している。
*CDPOを中心に障害者法法案作成に着手したが、外国人ボランティアがいなくなると活動が下火になった。そのため、半年間部署を設置し短期契約でスタッフを雇い、雇用割当て制等が盛り込まれている最終案を集中的に作成した。社会福祉省のOKをもらうところまで行った。
*政府の障害活動評議会(Disability Action Council)では、国の政策の中でNGOが働けるように定期的に集まっている。CDPOはその主要メンバーで、副会長のペン・モニーがスタッフに雇われている。
*スポーツは、難民を助ける会やベテランズ・インターナショナルがバレーボール、卓球、車椅子バスケ、カンボジア・トラストが陸上競技など、NGOがレクリエーションとして行っていた。CDPOが進行役として、98年、フンセン首相を会長にカンボジア・パラリンピック委員会を作った。99年1月には委員会の初仕事としてバンコクFESPICに選手団を送った。外国企業やNGOを回って資金作りをした。今はオーストラリア政府が設置したシドニー・オリンピック委員会内で事務業務のサポートを受けている。同政府の援助でオリンピック・スタジアムの一部も改造し、事務所、ジムルームができた。CDPOでも義足者、盲人の卓球の卓球支援活動をしている。
*CDPOが進行役をしているろうプログラムでは、ろう者に手話、識字、基礎教育を定期的に教えている。カンボジアには聾学校が存在したことはなく、手話もなかった。就学年齢の児童をクロサータマイ(フランスのNGO)が、それ以上をCDPOが担当することになった。CDPOは96年にフィンランドろう者協会の支援によりクロサ−タマイとの協働で、国内の手話を調査し、ろう者たちに単語を決定してもらうやり方で、4-500語の手話を作った。クロサ−タマイは学校を建設し毎日授業をしているが、手話不足で教えられなくなり、アメリカ手話を導入している。CDPOはアイデンティティを強調し、国の手話をさらに作るべく、調査、準備をしている。

<<添付資料>>

カンボジア障害者団体(CDPO)

初めに


 障害をもつ当事者のひとたちの団体の結成を呼びかけた国連や外国のNGOは、障害者でリ−ダ−シップを取って動ける人材にかけ、いましばらく誕生を待つほかないと考えていた。やっと1994年9月に第一回障害者セミナ−が開かれ、全国21州のうち13州から100 人の障害者が参加してカンボジア障害者団体(Cambodia Disabled People's Organization )の結成を決議し、5人の準備委員を選出した。
 1994年9月に正式に結成され、中央委員会の各障害を代表する9人の委員が選出された。組織強化を中止に活動し、地域会議を地方で開催している。

1999年前期の出来事


1まとめ

 国情も安定し、99年2月には諸外国の援助団体が新規の支援を約束した。これにより、再構築された社会問題・労働・職業訓練・青年更正省(Ministry of Social Affairs, Labors, Vocational Training and Youth Rehabilitation, MOSALVY)も障害分野で積極的に働く姿勢を見せている。
 30以上のリハビリテーション分野の団体は障害者を開発段階に統合されるように支援している。その仕事を調整しているのが障害活動評議会(Disability Action Council, DAC)である。CDPOは積極的にその活動に参加している。
 自助団体として、CDPOは障害分野での立案、施行に障害者の考えが反映されるよう重要な役割を担っている。
 しかし今年度前半期では資金の受領が遅れ、活動の実施に影響に与えた。資金はここ3年ほどはいつも十分であった。
 活動評価での勧告に従って、スタッフと中央委員会(Central Committee)委員対象に立案訓練ワークショップが開かれれ、会員あつめ、支部づくり、法律等について話し合った。
 Ms. Jayaseeli Bonnetが1月から財務管理顧問に任命された。1999-2001年の3年間の行動計画での資金集めの計画を援助してくれた。
 会長のChea Samnangは交通事故後退任し、副会長のChan Som Olが会長に、会計のPen Monyが副会長に就任した。また中央委員会での空席は車椅子の女性Oum Samboがうめた。
FIDIDAやHandicap International、オランダカリタスのMensen から資金を受けた。

2権利擁護と啓発
立法づくり
 
DACにおいてCDPOは法案づくりの中心となった。法案の採択を待っているところである。目的とするところは、障害者の権利の実現である。初めに英語版が作成され、それが国語に訳され法案としてのスタイルが整えられた。1999年初頭までに国連高等弁務官カンボジア事務所(UN Cambodia Office of the High Commissioner for Human Rights, UNCOHCHR)と社会問題・労働・職業訓練・青年更正省に意見を求めるべく送られた。
省の役人からは、政府に回すには西洋的スタイルなので、カンボジア式にするようにとの意見があった。省はDACを通して、速く作業をすすめるように言ってきた。
CDPOは諮問作業グループを作り作業をすすめるプロジェクトを作り、その資金づくりにのりだした。

DACへの参加
 
事務局長は執行委員会とDACの諮問委員会のメンバーである。女性障害者の中央委員会の女性もDACの執行委員かのメンバーである。地域教育部スタッフ等も、多くの小委員会に参加している。

国立障害者センター(National Center for Disabled Persons)の支援
 センターの年次総会にスタッフと中央委員会委員が招かれた。運営委員会の評議会に委員を送っている。

意識の向上
 
財政難により、機関紙もパンフレットも作れなかった。 
活動を紹介するポスターを作成し地雷啓発日やNGO祭りで展示した。毎週末にある盲人バンドの演奏の際には、残っている昨年のポスターを配付している。
全国テレビで放映しているスポットを新しくする資金がなかったので、古いのを再放送するように頼んだ。

パラリンピックとスポーツ
 
CDPOのパラリンピック開発プロジェクトによって全国パラリンピック委員会が作られた。そして活動を評価した際に、役員の派遣や支援は続けるものの、組織を別個のものとすることにした。
 1月にバンコクで開催された第7回フェスピックに42人を派遣すべく、石本由実さん等2 人の顧問が立案、資金づくりをしてくれた。銀メダル3 、銅メダル2を手にしたチームの活躍はマスコミで取り上げられた。これはカンボジアの障害者選手が出かけた初めての海外競技大会であった。
 台湾のエデン財団がカンボジアの会社と契約して製造させた競技用車椅子の配付をした。

盲人ソフィーク音楽バンド(Sopheak Musical Band for the blind, Sopheak Dontry)
 
運営、事務等、引き続き援助している。プノンペンの公演で毎土曜夕方アンコール・ビールがスポンサーとなり、だんだんと観客の数も増えている。まだプロとしての腕はないので、収入は少ない。

障害者対象のサービス
 
雇用ガイダンス
 障害者の権利の侵害の告発

3会員あつめ

地域会議
 
資金の関係で、プノンペン、バタンバン、クリチエ(Kratie)での7月になってから地域会議を開く。
 県支部 ー カンポット(Kampo)、バンテアイ・メアンチェイ(Banteay Meanchey)

活発な女性障害者グループ
 
聴覚障害開発プログラムと国の手話開発

4団体の発展と運営


運営と事務

 昨年11月のCDPO中間期評価において弱体を指摘されたものの、組織運営と事務は向上した。財政がひっ迫していたので事務官の採用を見送った。事務局長の仕事が減ることはなくそのため組織の他の優先課題が手付かずになった。

立案と訓練
 スタッフと中央委員会委員のための活動計画の検討とさらなる計画策定のためのトレーニング・ワークショップが開かれた。詳細な3カ年計画が討議、修正された。
 英語訓練コースを継続するスタッフ屁の資金的支援は4月で打ち切られた。財務マネージャーのSrey Savyはノートン大学でのビジネス・クラス3年目を続けている
リーダーシップ 
 中央委員会委員のための指導者養成セミナーや県代表者のためのワークショップ、前期中2回開かれた中央委員会および月2回の常設委員会の会議が開催された。

5会計報告(1999年前半期)
収入
. CDPO支援プロジェクトのために $21,900
- $ 10,000 ム FIDIDA for overall program support of CDPO
 - $ 5,000 ム フィンランドろう者協会(Finish Association of the Deaf )ろう者の支援
 - $ 5,000 ムハンディキャップ・インターナショナル(Handicap International, HI)
- $ 1,900 ム HI-PRES 支部の支援
支出
 
権利擁護活動 - $8,114.35    (16.72%)
 会員拡大 - $15,941.51 (32.84%)
 組織発展 - $17,313.23 (35.66%)
 ろう者プロジェクト - $4,602.90    (9.49%)
 盲人楽団 - $2,573.88    (5.30%)
  合計  $48,545.87 100%

資料
 CDPO Bi-Annual Report, PERIOD: JanuaryーJune 1999
 CDPO Annual Report 1999

            (翻訳 中西由起子)