世界の開発NGO−SHIAの活動を中心に

第102回アジア障害者問題研究会報告
2000年1月8日
日本障害者リハビリテーション協会・上野悦子

*昨年4−7月清水基金の福祉分野での5年以上の経験者を対象とする奨学金を得て、特に障害分野で効果的な開発協力をしているNGO の活動を研究した。
*Sida(スウェ−デン国際開発機構)はスウェ−デンのSIDA(スウェ−デン国際開発
協力庁)が4機関と合併されて設立されたもので、NGO 支援部が13のNGO (フレ−ム団体と呼ばれている)に資金を出している。障害分野では唯一SHIAが入っていて、2年分の援助要請に基づいて資金がで、自分たちで評価まで行う。
*連帯、人道主義、国際援助のモット−から名前がついたSHIA(スウェ−デン障害者
国際援助協会団体)は、NGO として国際協力を進める障害当事者団体の集まりであり、CBR として団体の活動強化のための援助を行う。1997年の機構改革で、モット−の「国際援助」は「国際活動」に変わった。年間予算は2000万クロ−ネ(2億7千万円)。1981年の設立時の13団体は19に増えた。盲聾の人まで直接現場に出かけている。はじめて直接運営するプロジェクを南アフリカで始めた。98年は5人、99年は3人の会員団体の障害者が現地視察をするプロジェクトもある。
*その一つDHR (スウェ−デン障害者連盟)は1923年に設立され、3万人の会員がいる。ホ−ムヘルプ、アクセス、教育、交通の分野で活動している。会員の拠出による1万クロ−ネの訪問基金は活動ができない会員を訪問するために使われる。スリランカでのプロジェクトでは職業訓練と雇用を実施している。SHIAから資金が90%が出て、残りは会費からの資金が当てられる。
*スウェ−デンには政府が援助する青年組織が100 もあり、そのうち15が障害関係で
ある。主団体に関連して設立されることが多く、別組織として次世代を育成する場と
なっている。*US(スウェ−デン視覚障害青年会)は7−25才までの会員500 人を有する。国際連帯事業として国際協力を行い、コロンボの盲学校の職業訓練を援助していた。視覚障害の学生を長とする評価団の来訪時と一緒になったが、籐製品作りなどで発展が見られないので打ち切りの方針だと聞いた。同じ学校の宿泊所のついたコ−スが設置された歩行訓練所を作りを支援することになっている。
*スウェ−デンでは「連帯(solidarity)」が、チャリティ−によるのではなく平等
に責任を持つという意味で、国際協力の分野でもその精神が活かされている。障害者
団体には、チャリティ−に嫌悪感を持っているところもある。
*スリランカは2ヵ所SHIAの現地事務所がある2ヵ国の1つである。政府の政策を支
援し、障害者団体を強化することを目的に、障害者団体と政府が顔を合わせるフォ−
ラムへの場所の提供も行っている。前回のフォ−ラムには社会大臣を交え60人以上が
集ったが、NGO は単にSHIA主催の情報交換の場としか見ていなかった。SIDAスリランカ委員会は、彼らのプロジェクトを支援するとの立場を取り、10年は援助を継続し徐々に支援額を減らす方針である。団体強化のためには、通信(電話代、ファックス設置、メ−ル設定)の支援をしている。支援の額は大きくない。20ほどのNGO が支援を受けている。SHIAは女性支援の政策に沿って女性障害者協会の知的障害女性の職業訓練の支援も始めた。協会は北部の乾燥地帯であるタワラで縫製をしている。中央政府の人をアドバイサ−として、その北部の紛争地帯の複雑な問題を抱える女性障害者への訪問も行っている。