張 海迪 − CDPFの新会長

中西由起子
2008年11月23日

 中国障害者連合会(CDPF)は1988年の設立以来ずっと、中国の解放・改革政策をリードした最高実力者であるケ 小平の息子であったケ樸方が会長を務めていた。11月13日に閉幕した中国障害者連合会第五次全国代表大会において、ケ氏が退任し名誉会長となり、張海迪(Zhang Haidi)氏が後をついだ。

 張氏は1955年生まれ。山東省の出身である。子供のときの脊髄の病気により車椅子を使うようになった。文化大革命においては土の家にすむようなの厳しい環境を生き抜き、その自らの経験を描いた長編小説「車椅子の上の夢」(飯塚陽訳,新潮社、絶版)で有名となった。また、独学で漢方医学や幾つかの外国語を学び、その努力する姿勢が政府に評価され、83年に「張海迪に学ぼう」の全国キャンペーンが展開された。

 1997年12月にNHKの番組「明日に生きる − 障害者の日特集」で彼女にインタビューするために、山東省済南市の二階建ての家を訪ねた。住宅地の中にあり、両親や夫と住んでいた。作家協会から翻訳や創作の仕事により給与をもらっている彼女の執務室には、辞書など多くの本があった。英語を滑らかに話す彼女とのインタビュー後、山東省の餃子は有名であるといるというのでカメラの前で彼女の両親が用意してくれた具を一緒に餃子の皮に包んでみた。その後現地のスタッフや彼女の妹も交えて、ゆで上がった大皿一杯の餃子に黒酢をつけて食べながら雑談をした。2階に住んでいていつも夫が背負って外に出ているようであるし、家の前の道は舗装も悪く外出もままならないであろと思い、外出はたいへんでしょと問いかけた。物理的アクセスの不備が話題になるであろうと予想していたところ、すでに有名人であり、車いすの彼女が歌いその周りを子どもが踊るミュージック・ビデオで顔もしられているため、「出ていくとすぐに子供たちが周りを囲んでサインをねだるので大変」との答えが返ってきた。

 以来毎年、彼女のサイン入りの写真がついたクリスマス・カードを毎年交換していたが、CDPFの事務局に尋ねても最近までは中央レベルでの活動にはたずさわっていなかったようなので、今回のニュースは驚きであり喜びであった。海外での活躍も期待されているので、いずれ会えることを楽しみにしている。